国際会計基準(IFRS)財団とは?ISSB・SSBJとの関係やサステナビリティとの関わりをわかりやすく解説
近年、企業に求められる情報開示は大きく変化しています。従来は売上や利益などの財務情報が中心でしたが、現在では気候変動、人権、人的資本、サプライチェーン管理などの「サステナビリティ情報」も重要視されるようになりました。
その中心的な役割を担っているのが、国際会計基準を策定する「IFRS財団」です。
さらに、IFRS財団のもとで設立されたISSB(国際サステナビリティ基準審議会)は、世界共通のサステナビリティ開示基準を整備しており、日本でもSSBJ基準として制度化が進んでいます。
本記事では、IFRS財団の概要から、ISSB・SSBJとの関係、企業に求められる対応、サステナビリティとの関わりまで、わかりやすく解説します。
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1. 国際会計基準(IFRS)財団とは
1-1. IFRS財団の概要
IFRS財団とは、「International Financial Reporting Standards Foundation」の略称で、国際的な会計基準や開示基準を策定する非営利組織です。
本部はイギリス・ロンドンに置かれており、世界中の投資家や金融市場に対して、比較可能性の高い情報を提供することを目的としています。
もともとは財務会計基準の整備を中心としていましたが、近年はサステナビリティ情報開示の重要性が高まったことを受け、サステナビリティ関連基準の策定にも大きく関与しています。
現在では、企業価値を適切に評価するためには、財務情報だけではなく非財務情報も必要不可欠であるという考え方が広がっています。
そのため、IFRS財団は「財務」と「サステナビリティ」を統合的に捉える国際的な基準づくりを進めています。
1-2. IFRSとは何か
IFRSとは、「International Financial Reporting Standards(国際財務報告基準)」の略称です。
簡単に言えば、世界共通の会計ルールです。
各国で異なる会計基準を使用していると、投資家が企業を比較しにくくなります。そこで、国際的に統一された基準としてIFRSが整備されました。
現在では、EU諸国をはじめ、多くの国・地域でIFRSが採用されています。日本でも任意適用制度が導入されており、多くの上場企業がIFRSを採用しています。
IFRSの導入によって、以下のようなメリットがあります。
- 海外投資家との比較可能性向上
- グローバル資本市場での信頼性向上
- 国際的な資金調達の円滑化
- 企業価値の透明性向上
このように、IFRSはグローバル企業にとって重要な基盤となっています。
1-3. IFRS財団の役割
IFRS財団の主な役割は以下の通りです。
(1)国際会計基準の策定
企業の財務情報に関する統一ルールを策定します。
(2)サステナビリティ開示基準の策定
気候変動、人権、人的資本などの非財務情報に関する開示基準を整備します。
(3)国際的な比較可能性の向上
投資家が企業間比較を行いやすい環境を整えます。
(4)金融市場の透明性向上
企業のリスクや機会を適切に把握できるようにします。
現在のIFRS財団は、単なる会計基準策定機関ではなく、「企業価値を評価するための国際的な情報開示ルールを整備する機関」として存在感を高めています。
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2. IFRS財団とサステナビリティの関係
2-1.なぜサステナビリティ情報開示が重要になったのか
近年、世界中でESG投資が拡大しています。
ESGとは以下の3つを意味します。
- Environment(環境)
- Social(社会)
- Governance(ガバナンス)
投資家は、企業の短期的な利益だけではなく、中長期的な持続可能性も重視するようになりました。
例えば、以下のようなリスクが企業価値に大きな影響を与える可能性があります。
- 気候変動による事業リスク
- 人権侵害によるブランド毀損
- サプライチェーン問題
- 人材不足
- ガバナンス不祥事
こうした背景から、企業にはサステナビリティ情報の開示が求められるようになりました。
特に、機関投資家や金融機関は、企業のESG対応を重要な投資判断材料として活用しています。
その結果、世界的にサステナビリティ開示基準の統一が求められるようになりました。
2-2. IFRS財団によるISSB設立
こうした流れを受け、IFRS財団は2021年にISSB(International Sustainability Standards Board:国際サステナビリティ基準審議会)を設立しました。
ISSBの目的は、世界共通のサステナビリティ開示基準を整備することです。
以前は、以下のように複数のフレームワークが存在していました。
- TCFD
- SASB
- CDSB
- Integrated Reporting
- GRI
しかし、基準が乱立すると、企業側も投資家側も混乱してしまいます。
そこで、IFRS財団はISSBを通じて国際基準の統合を進めています。
現在、ISSB基準は世界的なサステナビリティ開示基準の中心になりつつあります。
2-3. ISSBとは
ISSBとは、「International Sustainability Standards Board」の略称です。
日本語では「国際サステナビリティ基準審議会」と呼ばれます。
ISSBは、投資家向けのサステナビリティ開示基準を策定しています。
特徴としては、財務情報とのつながりを重視している点が挙げられます。
つまり、「サステナビリティが企業価値にどのような影響を与えるのか」を開示することが求められています。
例えば、以下のような情報です。
- 気候変動リスク
- 脱炭素戦略
- 人的資本投資
- サプライチェーンリスク
- 生物多様性への影響
これらを投資家にわかりやすく開示することで、企業価値の適切な評価を可能にすることがISSBの目的です。
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3. ISSB基準とは
3-1. IFRS S1とは
IFRS S1は、サステナビリティ関連財務情報開示の全般的要求事項を定めた基準です。
企業には、以下の4つの観点で開示が求められます。
ガバナンス
サステナビリティ課題に対して、どのような管理体制を構築しているか。
戦略
サステナビリティリスクや機会が経営戦略へどのように影響するか。
リスク管理
サステナビリティ関連リスクをどのように管理しているか。
指標と目標
KPIや目標設定、進捗状況など。
この構成は、TCFDのフレームワークとも整合しています。
3-2. IFRS S2とは
IFRS S2は、気候関連開示基準です。
TCFDをベースに策定されており、気候変動に関する具体的な開示が求められます。
代表的な内容としては以下があります。
- Scope1排出量
- Scope2排出量
- Scope3排出量
- 気候リスク分析
- シナリオ分析
- 脱炭素戦略
- 気候関連目標
特にScope3は、サプライチェーン全体の排出量を含むため、多くの企業にとって大きな課題となっています。
今後は、取引先企業にも排出量データの提供が求められるケースが増加すると考えられます。
3-3. TCFDとの違い
TCFDは、気候関連財務情報開示に関するフレームワークです。
一方、IFRS S2は、より具体的な開示基準となっています。
簡単に言えば、
- TCFD:開示の考え方
- IFRS S2:具体的なルール
という違いがあります。
現在は、TCFDベースの開示から、ISSB基準ベースの開示へ移行していく流れが強まっています。
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4. SSBJ基準とは
4-1. SSBJとは
SSBJとは、「Sustainability Standards Board of Japan」の略称です。
日本語では「サステナビリティ基準委員会」と呼ばれます。
SSBJは、日本におけるサステナビリティ開示基準を策定しています。
日本企業の実務や制度を踏まえつつ、ISSB基準との整合性を重視している点が特徴です。
4-2. SSBJとIFRS財団の関係
SSBJ基準は、ISSB基準をベースとして策定されています。
つまり、
- IFRS財団
↓ - ISSB
↓ - SSBJ
という流れで基準が整備されています。
そのため、日本企業も国際基準を意識した開示対応が求められています。
今後は、有価証券報告書などでのサステナビリティ情報開示がさらに重要になると考えられます。
4-3. 日本企業への影響
SSBJ基準の導入によって、日本企業には大きな影響があります。
特に影響が大きいのは以下の企業です。
- 上場企業
- 海外投資家比率が高い企業
- グローバル展開企業
- サプライチェーン上重要な企業
また、大企業だけではなく、中小企業にも影響が波及する可能性があります。
例えば、取引先から以下のような情報提供を求められるケースが増えています。
- CO2排出量
- 人権対応状況
- 労働環境
- サプライチェーン管理
つまり、サステナビリティ対応は一部企業だけの問題ではなくなりつつあります。
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5. 企業に求められる対応
5-1. サステナビリティガバナンスの構築
まず重要なのが、社内体制の整備です。
サステナビリティ対応は、一部門だけで完結するものではありません。
以下のような部門横断的な連携が必要です。
- 経営企画
- IR
- 環境部門
- 人事部門
- 調達部門
- 法務部門
また、取締役会レベルでの関与も重要視されています。
5-2. マテリアリティの特定
企業は、自社にとって重要なサステナビリティ課題を整理する必要があります。
これを「マテリアリティ特定」と呼びます。
例えば、
- 気候変動
- 人権
- 人的資本
- 生物多様性
- サプライチェーン
- コンプライアンス
などが代表的です。
最近では、「ダブルマテリアリティ」という考え方も注目されています。
これは、
- 企業が社会・環境へ与える影響
- 社会・環境が企業へ与える影響
の両方を考慮する考え方です。
5-3. データ収集・管理体制の整備
サステナビリティ情報開示では、定量データの管理が重要になります。
代表例としては以下があります。
- CO2排出量
- エネルギー使用量
- 女性管理職比率
- 労働災害件数
- 離職率
- サプライヤー監査状況
特にScope3排出量では、サプライチェーン全体からデータ収集を行う必要があります。
そのため、社内だけではなく、取引先との連携も重要になります。
5-4. 情報開示の高度化
企業には、統合報告書やサステナビリティレポートなどを通じた高度な情報開示が求められています。
さらに今後は、有価証券報告書との連携も重要になります。
単なるPR資料ではなく、「投資家向け開示」としての質が求められる点が大きな特徴です。
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6. IFRS財団・ISSB対応で企業が抱える課題
①専門知識を持つ人材不足
サステナビリティ開示は専門性が高く、対応できる人材が不足しています。
特に以下の知識が必要になります。
- ESG
- 会計
- 開示規制
- 気候変動
- 人権
- データ管理
そのため、多くの企業が外部専門家を活用しています。
②部門横断対応の難しさ
サステナビリティ情報は複数部門にまたがります。
そのため、
- 誰が主導するのか
- どのデータを集めるのか
- どこまで開示するのか
など、社内調整に苦労する企業が多くあります。
③開示基準が複雑
ISSB、SSBJ、TCFD、CSRDなど、複数の基準が存在しているため、理解が難しい点も課題です。
特にグローバル企業では、海外規制への対応も必要になります。
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7. サステナビリティ開示対応ならコンサルティング活用も有効
IFRS財団やISSB、SSBJへの対応には、高度な専門知識と部門横断的な体制構築が必要です。
そのため、外部コンサルティング会社を活用する企業も増えています。
7-1. コンサルティング活用のメリット
①最新基準への対応
ISSBやSSBJは今後も更新が続く可能性があります。
専門家を活用することで、最新動向を踏まえた対応が可能になります。
②効率的な体制構築
社内体制整備やデータ収集フロー構築を効率的に進められます。
③投資家視点の開示強化
投資家が求める情報を踏まえた開示改善が可能です。
7-2.こんな企業におすすめ
以下のような課題を持つ企業では、専門家活用が有効です。
- SSBJ対応を進めたい
- ESG評価を向上させたい
- CDPやEcoVadisへ対応したい
- 開示内容を強化したい
- サステナビリティ戦略を整理したい
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8. サステナビリティ対応に専門家のサポートが必要な理由
サステナビリティ対応は、専門性が高く、国際的な基準や開示フレームワーク(GRI、SASB、ISSBなど)も複雑に絡み合います。そのため、多くの企業が外部の専門家やコンサルティング会社の支援を受けながらマテリアリティの特定を実行しています。
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9. 今後の展望
今後、サステナビリティ情報開示はさらに重要性を増すと考えられています。
特に以下の動きが加速しています。
- ISSB基準の世界的普及
- 日本におけるSSBJ制度化
- EUのCSRD強化
- 投資家によるESG重視
これにより、企業には「財務」と「非財務」を統合した経営が求められるようになります。
また、サステナビリティ対応は単なる規制対応ではなく、企業価値向上や競争力強化にもつながります。
今後は、
- 投資家との対話
- 人材確保
- ブランド価値向上
- サプライチェーン強化
などの観点からも、サステナビリティ経営が重要になるでしょう。
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10. まとめ
IFRS財団は、国際的な会計基準やサステナビリティ開示基準を策定する重要な組織です。
特に、ISSBによるサステナビリティ開示基準は、今後の世界的なスタンダードになる可能性があります。
また、日本ではSSBJ基準の整備が進んでおり、日本企業にも本格的な対応が求められています。
企業には、
- ガバナンス体制整備
- マテリアリティ特定
- データ管理
- 情報開示高度化
など、幅広い対応が必要になります。
一方で、サステナビリティ対応は単なる負担ではありません。
適切に取り組むことで、
- 投資家評価向上
- ESG評価改善
- リスク低減
- 企業価値向上
につながる可能性があります。
今後ますます重要になるIFRS財団・ISSB・SSBJの動向を把握し、早期に対応を進めていくことが重要です。
次のステップとしては、LOCAL STARのサステナビリティ支援サービスを活用し、自社に最適な形でサステナビリティに取り組むことを強くおススメします。
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