NTTグループ、1Finity、三菱ケミカル、IOWN APNとAI活用で屋外設備点検の高度化検証に成功

NTTグループ、1Finity、三菱ケミカルは、IOWN(R) APNおよびAIの活用によるスマートメンテナンスの実現を通じて、屋外の工場設備を点検する作業員の負担軽減に向けた取り組みを進めています。
概要
NTTグループ、1Finity、三菱ケミカルは、IOWN(R) APNとAIを活用し、屋外の工場設備点検における作業員の負担軽減を目指しています。2026年2月には、岡山県の水島臨海工業地帯でIOWN(R) APNと60GHz帯無線LANを組み合わせた通信環境を構築し、リアルタイムでの大量データ収集が可能であることを確認しました。今回、この通信環境を用いて、自律型ロボットやデジタルツインなどのフィジカルAI技術を活用した屋外設備点検の高度化に関する検証を実施し、実用化を見据えた有効な結果を得ました。
検証概要:
IOWN(R) APNと60GHz帯無線LANによる大容量・低遅延通信環境下で、自律型ロボットやデジタルツインなどのフィジカルAI技術を活用し、屋外設備点検の高度化に関する検証を実施しました。
検証内容:
1. 通信環境構築:
三菱ケミカル岡山事業所からNTTグループ東京都内ビル間(約700km)にIOWN(R) APN環境を構築。岡山事業所構内に複数のWiGigアクセスポイントを配置し、約150m×150mのエリアで広域無線通信環境を構築しました。
2. ロボットの遠隔操作および自律走行:
東京都内ビルにいるオペレーターが、岡山事業所にある四足歩行ロボットの遠隔操作を実施。ロボットは人の補助なく150m×150mの外周を一周し、通信遮断時の安全停止も確認しました。また、センサーのみで地図を生成しながら自己位置を見失うことなく自律走行し、障害物回避も可能でした。四輪駆動ロボットも自律走行できることを確認しました。
3. 取得データの送信:
ロボットが取得した映像データは、IOWN(R) APNを介して約700kmを送信。映像遅延時間は目標の500ms以内を達成し、ロボットの安定的な自律走行と遠隔監視・制御を支える通信環境の有効性を実証しました。
4. 振動と音に関する異常検知:
四足歩行ロボット搭載のカメラとマイクで取得した映像・音響データをAI解析し、異音(水撃音)のするポンプ機と配管を対象に異常を検知。普段と異なる異常発生を判断するに十分な精度が得られることを示しました。
5. ひび割れ点検:
四輪駆動ロボットで作成した3D空間マップとデジタルツイン環境を連携。ロボットが取得した高精細な映像データをAI解析し、デジタルツイン環境へ即時可視化。コンクリートのひび割れ情報や、将来ひび割れに進展する可能性のある微細なひび割れを検出できることを確認しました。映像伝送におけるパケット損失も0.1%以下と高い安定性でした。
6. 検証結果:
大容量・低遅延環境下で、ロボットの安定的な自律走行と、フィジカルAI技術を活用した遠隔地からのリアルタイム設備点検および予兆監視の実現可能性を実証しました。
実証実験の背景
NTTグループ、1Finity、三菱ケミカルは、持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一環として、IOWN Global Forum(TM)の活動に参画しています。これまで、IOWN GFパートナー企業と連携し、「Remote Controlled Robotic Inspection (遠隔操作型ロボット点検)」ユースケースのリファレンス実装モデル開発を進めてきました。2024年には、IOWN(R) APNを活用した遠隔操作型ロボットとAIによる映像解析を組み合わせた工場点検のモデル実証実験を実施しています。2026年2月には、IOWN(R) APNと60GHz帯無線LAN (WiGig) による大容量・低遅延通信環境の検証を実施しました。
検証内容と結果
大規模な工場設備が集積するコンビナートでは、安全・安定稼働維持のため、設備の定期的な屋外点検が不可欠です。施設規模が大きい場合、点検作業に多くの工数を要し、現場作業員の負担軽減は長年の課題でした。今回、IOWN(R) APNとWiGigによる大容量・低遅延通信環境を用い、自律型ロボットやデジタルツインなどのフィジカルAI技術を活用した屋外設備点検の高度化に関する検証を実施しました。
大容量・低遅延な通信環境の構築
三菱ケミカル岡山事業所からNTTグループ東京都内ビル間(約700km)に、「docomo business APN Plus powered by IOWN(R)」を活用してIOWN(R) APN環境を構築しました。岡山事業所構内には複数のWiGigアクセスポイントを配置し、約150m×150mのエリアで広域無線通信環境を構築。端末主導動的サイトダイバーシティ制御技術を採用し、WiGig装置搭載ロボットがエリア外周を走行する際、最適なアクセスポイントを瞬時に選択・切り替えることで、ロボットが動き続けられる安定した環境を実現しました。
ロボットの遠隔操作および自律走行
東京都内ビルにいるオペレーターが、岡山事業所にある四足歩行ロボットの遠隔操作を行いました。ロボットは、人の補助なく150m×150mの外周を一周できました。通信が遮断された場合に安全に停止することも確認。さらに、四足歩行ロボットはセンサーのみで地図を生成しながら自己位置を見失うことなく外周を走行でき、障害物(人や物)を認識して回避できることもわかりました。四輪駆動ロボットも、当該通信環境で自律走行できることを確認しました。
ロボットに搭載したデバイスを用いて取得したデータの送信
無線通信環境下でロボットが取得した映像データは、岡山事業所から東京都内ビルまで約700KmのIOWN(R) APNを介して送信しました。ロボットが走行中であっても、映像遅延時間は目標の500ms以内を達成しました。以上の結果より、映像ストリーミングを維持した状態においてもロボットの安定的な自律走行が可能であることを確認するとともに、ロボットの遠隔監視および制御を支える大容量・低遅延通信環境の有効性を実証いたしました。
ロボットによる振動と音に関する異常検知の検証
四足歩行ロボットに搭載した非接触のカメラとマイクを用いて、映像データと音響データを同時に取得し、データをAI解析することで、異常を検知できるのかを確認しました。異音(水撃音)のするポンプ機と配管を対象に、ロボットが撮影・集音したデータをAI解析することで、普段とは異なる何らかの異常が発生していることを検知しました。これは、配管に取り付けられたセンサーからの数値と目立った差はありませんでした。以上の結果は、ロボットを用いることでも、ポンプ機に何らかの異常が発生していることを判断するに十分な精度が得られることを示しています。
自律型ロボットとデジタルツイン環境を用いたひび割れ点検
自律型の四輪駆動ロボットを150m×150mの外周を一周させることで、3D空間マップを作成し、デジタルツイン環境の基礎をつくりました。次に、ロボットが取得した高精細なストリーミング映像データをIOWN(R) APN経由で岡山事業所から東京都内ビルへ送信し、画像認識AIで解析した後に、デジタルツイン環境へ反映しました。検証では、コンクリートのひび割れ情報が、デジタルツイン環境に即時可視化され、当該画像を押下することでひび割れ状況の詳細を確認することができました。映像データ取得からAI解析、デジタルツイン環境への反映まで一連の流れは500ms以下で実現でき、映像伝送におけるパケット損失も0.1%以下という高い安定性でした。将来的にはひび割れに進展する可能性のある微細なひび割れを検出できることを確認しました。以上の結果より、自律型ロボットやデジタルツインなどのフィジカルAI技術を活用した遠隔地からのリアルタイム設備点検および予兆監視の実現可能性を示しました。
今回の検証結果
大容量・低遅延環境の構築を通じ、データ取得と並行したロボットの安定的な自律走行の実現、および自律型ロボットとデジタルツイン等のフィジカルAI技術の活用による、遠隔地からのリアルタイム設備点検および予兆監視の実現可能性を実証しました。これらの技術は、点検人員の拠点集約や、複数拠点の点検の並行実施を可能とし、コンビナート等の工場設備を点検する作業員の負担軽減に貢献します。
今後に向けて
現場作業員の負担軽減に対する本格的な推進に向けては、映像、音響、臭気、温度などの多様なデータを統合した「人に代わる認知機能」をさらに高める必要があります。今後、マルチモーダルAI処理に対応したコンピューティング基盤の高度化に向けて、さらなる実証を行っていきます。
まとめ
NTTグループ、1Finity、三菱ケミカルは、IOWN(R) APNとAI技術を組み合わせた屋外設備点検の高度化に関する検証に成功しました。これにより、ロボットの遠隔操作・自律走行、リアルタイムでの異常検知、デジタルツインを活用したひび割れ点検などが可能となり、現場作業員の負担軽減に貢献することが期待されます。
関連リンク
https://www.nttcom.co.jp/news/pr26040601.html
https://www.nttdata.com/global/ja/news/release/2024/122000/


