経営ビジョンとは|サステナビリティ時代に企業が描くべき未来像
近年、企業を取り巻く環境は劇的に変化しています。
気候変動や資源枯渇、人口動態の変化、技術革新などが複雑に絡み合い、企業はこれまで以上に長期的な視点で舵取りを求められています。特にサステナビリティ(持続可能性)は、経営戦略の中心テーマとして急速に存在感を高めています。
従来の経営ビジョンは、主に「売上規模」や「市場シェア」など経済的な目標を中心に描かれてきました。しかし、現在では「社会課題解決」や「環境負荷の低減」といった要素を組み込むことが、社会からの信頼を得るうえで不可欠です。
特に経営層・経営企画やサステナビリティ担当者は、企業の方向性を示す経営ビジョンを、社会や環境の変化に即して再構築することが求められています。
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1.経営ビジョンとは?重要性と効果
経営ビジョンとは、企業が進むべき方向を簡潔にまとめて社内外のステークホルダーに示すものです。このステークホルダーとは取引先やパートナーだけではなく、従業員やその家族、就職希望者、業界や同業他社、金融機関、格付け機関、国や行政、地域社会や自然環境等、あらゆる関係者をさしています。
経営ビジョンを掲げることにより、
(1)社内の可能性
従業員の意思を統一することで企業の求心力が高まり、社員全員が同じ方向に向かって日々の業務を行えるようになります。それにより、企業全体の業績向上に繋がる可能性があります。
(2)社外の可能性
企業としての方向性をアピールし理解を得ることで、企業や展開するサービスブランドを向上させるだけではなく、想いを同じくする人の採用や協業、資金調達、取引発展に繋がる可能性があります。
サステナビリティ経営を実施する際にも最上位概念に当たるのは経営ビジョンであり、そのもとにサステナビリティ方針等の各種方針が提示されることになるので、経営ビジョンはサステナビリティを推進する上だけではなく、企業経営にとっても非常に重要なものになります。
そして、海外企業や国内グローバル企業を中心に広まっている形が、「ビジョン」「ミッション」「バリュー」という形です。また、最近では「パーパス」がこれに加わる形もあります。まずは従来の「ビジョン」「ミッション」「バリュー」から見ていきましょう。
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2.ビジョン・ミッション・バリューとは
「ビジョン」「ミッション」「バリュー」とは経営学者のピーター・F・ドラッカーが提唱したものであり、企業の社会的な正当性を確立するために、多くの企業に広まっている形になります。それぞれ以下のような内容を指します。
「ビジョン」とは目指す世界観
「ミッション」とは果たす役割
「バリュー」とは大切にする価値観
言わば、ビジョンはミッションを果たした上で実現していく将来のあるべき姿、ミッションは事業活動を通じてマストで行っていく物事であり会社の目的や存在意義を示したもの、バリューは事業活動を通じて大切にしていく心や行動指針を示したものです。
ビジョン・ミッション・バリューをもとに事業計画が作られていくという形になりますので、ビジョン・ミッション・バリューがない状態は土台がないところに建物を建てているようなものであり、企業としてとても危険な状態です。
経営者JP総研が2018年に実施した「理念、ビジョン、ミッション」に関する意識調査によると、経営ビジョンの浸透している企業の67.6%が直近5年の業績が向上しているという結果が出ており、経営ビジョンの設定と浸透が、事業発展にとって重要であることがわかります。
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3.ビジョン・ミッション・バリューの作り方とは
ビジョン・ミッション・バリューの主要な作成方法として、「vision sharing(ビジョン共有)」
「shared vision(共有ビジョン)」という2つの方法があります。
(1)vision sharing(ビジョン共有)
トップダウン型であり、経営陣等、一部の社員で決めたものを社員に浸透させるという形です。この方法の場合、少ない人数で柔軟にスピード感を持って決めることができるのがメリットですが、従業員に浸透させるのに時間がかかるのがデメリットです。
(2)shared vision(共有ビジョン)
ボトムアップ型であり、共有できるビジョンを一緒に作るという形です。この方法の場合、従業員と一緒に作るので、従業員に浸透させる手間を省けるのがメリットですが、多くの従業員の時間を拘束しなくてはならないのがデメリットです。
この主要な2つの方法に縛られる必要はないですが、会社がより成長するためにはどのような決め方がよいのか考えて考案するようにしましょう。
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4.ビジョン・ミッション・バリュー作成時期とコツは?
ビジョン・ミッション・バリューの作成は早ければ早いほどよいと思います。最も良いタイミングは起業時だと思いますが、事業計画を策定する際でもよいと思います。ビジョン・ミッション・バリューは大企業のものと考えられがちですが、想いを同じくする人たちとの協業や求める人材の採用を引き出せる可能性があるので、中小・スタートアップ企業においても、大企業と同様に重要だと思います。
ビジョン・ミッション・バリューを作成する上で重要なことは、誰もがわかりやすく、覚えやすい言葉にするということです。難しい言葉を並べたとしても誰も覚えられませんし、覚えられないような長い文章にしてもステークホルダーに浸透しません。適切な時期に適切な言葉を設定するように心がけましょう。
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5.ビジョン・ミッション・バリューの変更は必要?
これまでの日本企業では経営理念は不変という考え方が一般的だったと思います。しかし、ビジョン・ミッション・バリューは会社の方針によって、いつでも追加や変更が可能なものですので、経営ビジョンは不変だという考え方は捨て、社会情勢に合わせて柔軟に対応していくとよいでしょう。むしろ時代に釣り合わない内容を掲げていた場合、古い会社だと思われ、企業から関係者が遠ざかり、しいては企業の衰退を招く可能性があります。
何年かに1度現状のものでよいのか見直すというように決めてもよいですし、適切な時期に必ず見直すようにしましょう。
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6.パーパスとは
2020年、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューで特集されて以降、グローバル企業を中心に広がりを見せているのが「パーパス」です。「パーパス」とは存在意義をさします。企業の存在意義を社内外に宣言し、アピールするものです。パーパスを経営や組織運営に活かすことを「パーパス・マネジメント」と言い、パーパスを掲げて働く意義を明確にし、その内容が企業と従業員の共通項になることで、従業員は誇りをもって業務を遂行できるようになります。
また、パーパスの決め方は一律で決まっているわけではございません。1つ1つの組織にあった決め方をしていきましょう。
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7.まとめ:経営ビジョンは未来への羅針盤
経営ビジョンは単なるスローガンではなく、企業の存在意義を示し、社員や顧客、パートナー企業、地域社会等のステークホルダーを巻き込みながら未来を共創するための“羅針盤”です。
今こそ、自社の経営ビジョンを見直し、社会や環境と調和した未来像を描くことが求められています。
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8.サステナビリティを経営の中心とする新時代の経営ビジョン策定を支援します
サステナビリティを経営の中心とする新時代の経営ビジョンを再構築するには、専門的な知見と第三者視点が不可欠です。
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今こそ、持続可能な未来へ向けた第一歩をともに踏み出しましょう。
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